お留守番のあとに。

なんだか、ぐったりと、疲れました。皆さんお疲れさまでした。

【高田健太】高い女子力と若手芸人力を備えた純日本製アイドル。

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タカダケンタは、K-POPアイドルとして既にデビューしている日本人たちとは、明らかにどこか違ってみえる。

それは、23歳という高めの年齢だとか、元ヲタクでおっかけしてたという趣向とか、カバーダンスグループで活動してたという経歴などはあまり関係ない。私は、その女子力とでもいうべき情報処理能力及び行動力を備えたキャラクターと、(日本の)若手芸人レベルの身を挺したアプローチによるものが大きいと思う。

高校生の頃K-POPにはまり、特にTEENTOPのファンになって、ライブやサイン会などに熱心に脚を運んでたという話は今やとても有名になった。が、好きなアイドルの歌やダンスを自分も真似してやってみる子はいても、そこまで現場を追っかけてアイドル本人(リキの大ファン)が強烈に覚えるまでアピールしまくる子は、そういない。男子ではとても珍しいと思う。そう、もともとの思考回路からして女子力が備わってるんだと思う。

男子の場合、好きなアイドルができた際「僕もあんなふうになりたい!」という方向に憧れるのが普通だろう。そのアイドルにプレゼントしたり自分を覚えてもらったり一緒に写真撮ってもらったり、と本人に愛されたい方向に考えるのって、それ女子の考え方じゃなかろうか? 女子は「リキを喜ばせてあげたい」とは願っても、自分が「リキみたいになりたい」とは思わないわけだから。そもそも彼の思考回路に女子的なものが備わっていたのだ。

渡韓後も、3畳間という狭いスペースに住んでいながらにして、一部でファッショニスタと騒がれるほど、着るもの飾るものにうるさいというのも、これまた女子力が高い証拠。カフェのバイトも、自撮りが好きとかお喋り好きとかそういうのも、要はおしゃれで要は女子力高しってことだ。あと、メークや髪型によって、ものすごく顔の印象が変わるところとか、それを誰かに強いられてやっている感じがしなくて、全部自分で演出してるように見えるところも含めて、私はいち能力として女子っぽさを感じる。

 

 

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当然、女子力だけではない。

ほんとかどうか知らないけど、渡航後一旦日本へ帰って大阪の居酒屋で働いてお金ためて再チャレンジしたとかいう話などきくと、すごく「男らしい!」と思うし、骨のある子だなあとも思う。

決断力と行動力はもちろん、いわゆる「度胸」も相当なものだ。常にヘラヘラしてみせているケンタだが、練習生を4年も5年もやって正式デビューした韓国人の子でさえ、初めてのテレビ出演ではガッチガチに緊張して、どもったりうわずったりするのが普通なのに、それを思うと、渡航一年余で何もかも未熟なケンタが、よくもあれだけ最初っからカメラの前で、へらへら愛嬌だしたり、ハキハキ笑顔出したりして、強力アピールできたよな!と感心しちゃうくらい、大した度胸なのである。

それを「性格でしょ」の一言ですますのは、なんか間違ってる気がするのでもうちょっと考えてみる。

 

大体、へらへらしてるっていうのも、人柄っていうよりは、彼なりに客観的に考えて計算して努めてそうしているところの「へらへら」だと思うのだ。ハキハキは、人前で仕事するひとの常識なので議論にもならないけど、へらへらちゃらちゃらってのは、わざとそうしてみせているのでは? 実は、すごい冷たくて厳しいだったらどうする?(そんなことないだろうけど)

私は、その辺りからは、まるで若手芸人の雰囲気を感じる。実は、個人的には、彼を最初に見た時から、こっちの雰囲気を強く感じていた私だ。

 

ちょっと話がそれるけど、いま、日本で暮らしている人って、総芸人化してるように思う。かつては、歌って踊っていただけの日本のアイドルが、今や歌よりバラエティ番組で「いかに気の利いた面白いコメントをだすか」「笑いがとれれば更によし」という基準で人気が出るように、我々素人の間にも、気の利いた面白いことをタイミングよく切り出せる能力、ひとを笑わせたりい和ませたりできる能力。こそが、何よりも尊ばれているような気がする。それは若い人だけ、おしゃれや流行に敏感な人だけ、じゃなくて、老若男女全部がそうだ。いやー大変な時代になったものだが、これを「一億総芸人化」と呼んでいる(私だけだけど)。

だって、一部の小学校とか一部の会社では「お笑いの時間」とかがあったりして、人とのコミュニケーション学習に芸人のお笑いスキルを採用したりしてるんだぜ。なんだろうこの国。そんなもん教えられるものなの?

 

とにかく、そんな時代のそんな国なので、ケンタが韓国でアイドルを目指そうっていう折も、ニッポンのお家芸である「芸人的コミュニケーション力および自己アピール力」を全力で発揮するのは、自然といえば自然なこと。むしろ、先輩であるサナミナモモとかタクヤユウタユウトユウトとかは、芸人力使わなかったのか?と思う。高田健太の場合は、練習生という身分でテレビ出演し有名になった為、事務所の指導も削除も是正もなく、ある意味野放しだったので、素の言動がそのまま伝わりラッキーだったといえる(例えば、足達佑人はそもそもテミン鬼ファンであり熱心にカバーダンスやってたなどの事実があるが、実際デビューすると他会社のアイドルなど御法度話になってしまうので、今は絶対に話されない等等)

にしても、彼の芸人力は異常な高いんじゃないだろうか。

芸人さんの知り合いがいるわけじゃないので、詳しくはわからないが、芸人さんって、身を挺してサービスする姿勢がまず尋常じゃない。そのサービスも、単に喜ばせるとか笑わせるといった積極的なもの以前に、まず徹底してお客さんを肯定するところから。どんなに嫌なことや間違っていることをいっても、にこにこ聞いてくれて全肯定してくれる。それがまあ「へらへらしている」っていうイメージに繋がっているんだろうけど、要するに全力で「お客さんを気持ちよくさせる」ことに徹しているわけだ。ケンタの場合のお客さんというのは、国民PDとか番組スタッフ、とかそういう狭義の人たちではなくて、もう韓国に行ってから出会う人出会った人全員がお客さんであり、全員にサービスしているということだ。だから、何を言われてもはい、笑顔ではいと言うこと聞くのはもちろんのこと、嫌なことでも絶対顔に出さなかっただろうし、号泣するにしても、どうもそこには客へのサービスという意味合いが相当含まれてるように私には見えた(ごめんね)。ここで、いかにも悔しそうに悲しそうに涙を流す姿は、番組の流れ的に必要だろうしおいしいだろう、きっと映してくれるんじゃないかなという望みも含めて、それらを自然にサービスできるという力である。それもいかにも若手芸人みたいだし、ここでこういう独り言を呟けば、ここでこういう表情をすれば、ここではこういう動きをすれば「使われやすい」という細に入り微に入りの計算も、まさに若手芸人の思考だ。

ケンタは、生まれつきそれができるのか、あるいは、相当考えてあえてそれを自分で狙ってしているのか、恐らくそのどちらも本当なんだと考えるが、それが表面上とても自然に見えていることを思うと、スキルは非常に高い。本物の若手芸人より自然だったかもしれない。

 

あと、しつこいけど、もう1個あって、

それは、取材時やインタビュー時に返す回答だ。これも「芸人かっ」といちいち私はつっこんでたのだが、彼は、必ず、聞く者に引っかかるエピソードを入れたり、ちょっと気になる言い方をしたりする。

ちょっと具体例が出せなくて恐縮だが、「へ~そんなことが?」「うわぁ意外」という話もちょいいれて、でも入れすぎて質問の意からそれて「そんなこと聞いてないんですけど」にならない程度に納める。っていうのがうまい。絶妙である。他の子だと聞かれたことを素直にまんま答えるような質問なのに。かっこよく答えよう! かわいく答えよう!っていう以外にもケンタにはいつも、心にちょっと残るような、角度を変えたことも差し込もう!みたいな考えがあるように思う。それこそサービス精神から来てるんだろうけど、根っこにはやっぱり、見る人の心に爪痕を残そうという芸人魂を感じる。日本の女子タレントなんかが熱心に身に着けているスキルだと思う。

 

というわけで、やっぱり、タカダケンタという人は、女子力と芸人力を駆使して、前に前にどんどん進んでいく人だと思った。余談だけど、先日たまたまケンタのお母さんという人のメールを見かけたのだが、これがまあ「さすがケンタの母」といった感じであった(全然伝わらない)。この親にしてこの子あり。である。多分、日本人練習生、日本人アイドルの中で、もっともつぉい。と確信した次第。ケンタもケンタだが、おかあさん最強かも。何歳なんでしょうか。

 

歌やダンスも上手なのに、終始メンタルとアプローチのことしかいわなくて申し訳なかった。デビュー決定おめでとう。きっとうまくいくと思うし応援する。このままもういくとこまでいってほしい。頑張れ。

(余計なお世話だろうが、何年か韓国でアイドルしたのち、帰国しても、彼ならきっと日本の芸能界も水にあうはず。そう思うと、タレントとしてずっと長いおつきあいになりそうな予感さえする)