お留守番のあとに。

正直ミン・ヒジンもパン・シヒョクも好きじゃないので、どうでもいい。

人たらしアイドル オブ・ザ・イヤー!2019

人たらし。なんと甘美な響き…。人をたらすわけですから、そりゃもう甘い甘い。
「人たらし」とは、悪い意味でしか使われない「人でなし」「女たらし」とは違って、今では立派なホメ言葉。かかわった者は皆、その人の虜になり、気がつけばめっちゃ好きになってる。その人と仲良くなりたい!そばにいたい!力になりたい!と願うあまり、あれこれ世話をやき面倒をみてしまう。できれば自分のことも好きになってほしいけど、そうならなくても愛情が減ることがなく、頼まれてもないのに永遠にその人の幸せを願って生きる。私の考える「人たらし」とは、大体そんなイメージです。
もう、ほんとにね、妖精か天使かってくらい、素晴らしい存在だと思うんです。人の悩みの9割は人間関係といわれている現代社会において、かかわった者すべての人に無償で愛されるなんてこと、あります? ある意味最終兵器ですよ。どんだけ前世で徳を積んだら、そんな人間に生まれかわれるんでしょうか。近くに「人たらし」が1人いれば、それだけで確実にハッピーになれますし、身内から「人たらし」が出れば一家円満でしょうし、もっといえば、自分自身が「人たらし」になってみたいものです。そんくらいの値打ちは十分あります。ただ、「人たらし」は、生まれ持った才能なので、自分が今から人たらしになるのは無理。せめて、「人たらし」たちのクセや考え方を真似して、誰からも愛される要素を身に着ければ、人生が上向きになりそうじゃないですか。
そういうわけで、私も「人たらし」が多数いるアイドル業界から、日々お勉強させてもらっています。本当に、アイドル業界というのは、人たらしの宝庫でありまして、考えてみれば、人から愛されることが仕事であるアイドルだけに当たり前のことなのです。そして、いろんな「人たらしアイドル」を見るうちわかったことは、人たらしから何かを学んで身につけるより、一方的に人たらしに「たらされてる」方がずーーっと幸せだということです。特に、K-POPアイドル界は、どの国のアイドルよりも「大衆に愛されること」のハードルが激高ですから、天然物の純度100%人たらしでないと生き残れないところ。とても多種多様で、レベルの高い「天然人たらし」アイドルが生息しているのです。こんな幸せなことはないわけで、学んでいる場合ではない。日々有難く「たらされて」おけばいいのです!他力本願ありがたい!
前置きが長いっ! では、これまでの人たらしアイドルを改めて(いや初めて)紹介しつつ、今年度の人たらしアイドルをご紹介いたします。

 

2016年度優勝 ASTROチャ・ウヌ

「優等生型人たらし」

f:id:tenkomulan53:20191020222315j:plain

爽やか。誰からも愛されるという定義から、「人たらし」とは、聖人君子みたいな完璧人とイメージされがちですが、実際は、むしろ、どこか抜けてたり足りなかったりつまらなかったりするドジっ子キャラの方が多い。尊敬するより庇護してあげたくなる子が多いのです。ところが、16年1月にデビューしたASTROのウヌは、それこそ非の打ち所がない完璧な青年。稀にみる「優等生型人たらし」でした。
顔よし。スタイルよし。性格よし。頭よし。しかも、その偏差値すべてSS。実際、学級委員長や生徒会長をやってたり、ソウル大学(東大みたいなとこ)行って裁判官になるのが夢だったというほんまもんの優等生だったようで「なぜ、そんなお子が芸能界に?」と思わずにいられませんが、そこが「人たらし」としての運命なのかも。とにかく、あたりが柔らかい。デビュー当時から、人気ドラマに出演していて、1人だけ死ぬほど多忙だったのですが、そんな状態なのに、ドラマやアイドルの仕事どこへ行っても、そこの現場スタッフが全員、ウヌにメロメロだったというじゃありませんか!メロメロなんて、いまどき使いませんが、メロメロという腰抜けな感じが妙にピッタリくるため、あえてメロメロといいたくなる、それが「人たらし」チャ・ウヌの本領です。ウヌが、まわりの人を虜にしてしまうのは、顔がいいとか背が高いという外見ではなく、柔らかさ、優しさ、品の良さ、腰の低さにあります。時にはにかみ、時に微笑み、あの吸い込まれそうにキラキラした瞳で見つめられながら、小さい声で話されたら、そりゃメロメロになるわな。わかる。ASTROでも年長組メンバーなのに、決して弟たちに偉そうにしない。あれだけ何でもできる人間なのに、常に謙虚なために、弟たちにまで大事に思われ愛されているのは本当に誠実で優しいからだと思います。ちなみに、ウヌは、一度やると決めたら、ダンスも歌も英会話も筋肉バディも、どんな努力をしても手に入れます。やると決めたら死んでもやる!という暑苦しいほどの情熱と根性の持主なのです。そんな男が、他人に対してはどこまでも優しく腰が低くできるというのは、なかなかできることではない。「人たらし」でなくても愛されて当然かもしれません。

 

2017年度優勝 WANNA ONEイ・デフィ(現AB6IX)
「戦略型人たらし」

f:id:tenkomulan53:20191020221733j:plain

デフィは、自分が人たらしであることを知っています。女子より細いスレンダーな身体に、女子並におしゃれ好きでかわいいことや楽しいことがだぁい好き。自分のちょっとしたリアクションや言動が、本当にかわいらしく皆に愛されるものであることをよく知っています。が。幸か不幸か、彼は、もとより音楽的な才能や実力、センスに秀でていて、自分でも自信があったのでしょう。本人としては、幼い頃から「自分はできる人」という分相応のパーソナルで生きてきて、そのキャラで仲間や会社とうまくやれていたのに。17年春、PRODUCE101の合宿中などで「それでは世間に嫌われる」いうことを初めて知ったのです。あの若さ(当時16歳)であのかわいさですから、何も間違ったことをしてなくても、たしかに偉そうに思われたのです。今思えば人生最大クラスのショックだったと思う。普通のお子だと、もうどうして生きていったらいいのか、キャラ迷子になってしまうこと間違いなく、少なくてもしゅんと落ち込んで終わってたはず。しかし、イ・デフィは違います。知った瞬間すぐに切り返したのです。「自分はできる人」という面を全部隠し、「かわいいデフィ」という面だけを残すことに決めたのです。この舵を切った瞬間、アイドルとしてのイ・デフィの成功は確定したと思います。彼の本当にすごいところは、こういう、状況を読んで的確に判断できる勘の良さ、判断したとおり即実行できる勇気だと思います。JYPを「こらアカン」と辞めた時も、WANNA ONEになるため自分を「こらアカン」とすぐ上書きした時も、頼りにしたのは自身の勘のみ。若いのにどっかのCEO並に大した器だと思います。
そして、ただの「人たらし」になったデフィは予定通り成功するのです。別に無理に演技せずともかわいく生まれついてるので、ただただ兄たちやファンたちに甘えていればいい、デフィにとっては簡単なお仕事だったことでしょう。実際、な~んも考えずキャーキヤーいってるデフィは本当にかわいい。少々ファニーフェイスに生まれたのがかえってかわいく、一緒にいたら絶対楽しいお子だと思う。女子は女子と遊んでる気分だろうし、男子も、女子をかわいがってる感覚だろうし。
WANNA ONE活動中、おくびにも出さなかったプロデユーサー気質の面は、19年AB6IXになって以降、いかんなく発揮されています。私は、社長(会社)が決めたといってるAB6IXのいろんなことは、実は、全部デフィが決めてるんじゃないかと思ってるくらいです。そう。社長は、さすがに、デフィの才能やセンス、そしてその勘の良さを熟知してるでしょうから、彼が「できる人」キャラを隠して、単なる「人たらし」をやっていることに全面協力してるんじゃないでしょうか。

2018年度優勝 NCTU ルーカス(現WayV/SuperM)
「友好型人たらし」

f:id:tenkomulan53:20191020222154j:plain

近年稀にみる超スピード出世した「ワールドワイド人たらし」です。ついでにワイルド。17年末にSMルーキーズとして公開、18年2月にNCT2018とNCTUでデビュー。本人の「わし、DREAMに入りたいんじゃぁ~~」の声も虚しく、19年1月にはWayVとして中国デビュー。続いて19年秋には、頂点SuperMのメンバーとして全米デビュー。デビューアルバムがこのたびビルボード200で1位獲得と。これ以上の成功ある?ってくらい申し分ない成功譚です。彼が「人たらし」だから成功したとはいいませんが、「人たらし」だから選抜されたとは思うんです。もちろんルックスも申し分ないけれど。

どこへ行っても陽気で明るく、常に「楽しもう!」という気持ちで臨んでいるため、何がなくても大体1人で笑っています。みんなと仲良くなれるのが心底嬉しそうです。新しく友達になったり、先輩や後輩や上司とかと親しくなるのが、何より嬉しい友好型の「人たらし」なのです。特に、私がさすがと思うのは、わからないことはわからない!知らないことはわし知らん!といえる素直さです。間違ってる、おかしいこともそういえるし、助けてほしい時や手伝ってほしい時も、正直にそういえるのです。いわゆる「ひとの懐に入るのが上手い」というやつです。これをやられて、嫌な気持ちする人はいない。どんな人もこの子の役にたってあげよう、面倒をみてあげようと思っちゃうわけで。そして、自らのイケメンを自慢せず常に腰が低いチャ・ウヌに対して、ルーカスは、「でっしょー?俺ってイケメンー。脚だってこんなに長い~~」と平気でいえちゃうかわいさがあり、これで笑いをとって、さらに場が馴染むのです。こんな難易度の高い技を使える「人たらし」はルーカスぐらいでしょう。こんな奔放な感じでも皆に愛されるのは、ルーカスの方こそ1人1人のことが大好きで愛しているからなのでは。SuperMにしても、1人1人の先輩のことが大好きで大好きで、心の底から「仲良くなりた~~い♥」と思ってるからこそ、相手も嬉しくてつい可愛がっちゃう、という場面がたくさんありました。誰もがみんなルーカスにやられてて驚きました。まるでデカい犬のようにかわいかったです。なんだか、なーんも苦労してないように書いてしまいましたが、ダンスもラップも、そして韓国語や中国語もこんな短期間に苦労して身に着けてたことは、素直にすごいと思っています!それもまた、仕事のためというよりは、なんでも前向きに! みんなと仲良く親しくやっていくために!というつもりでやったのかな?と思うと、ほんとにいい奴だな!と思ってしまう。そんな人です。

 

2019年優勝候補 ATEEZウヨン
「小粒系人たらし」「やんちゃ系人たらし」

f:id:tenkomulan53:20191020221806j:plain

歴代の「人たらしアイドルNo1」に比べると、若干、小粒であることは、私もわかっています。「人たらし」というのは、まわりのすべての人を巻き込む能力のことなのに、彼の場合は、かなり限定的な効力しかないので、その意味でひじょ~~~に小粒です。納得できない人もいることでしょう。大体、8人いるATEEZの中でさえ、ウヨンが断トツで「人をたらしている」と言い切れないという小粒っぷり。ATEEZは、全員が愛さずにおれないメンバーだらけなので仕方ないとはいえ、それにしても小粒です。
それでも、どうしても今年のNo1に挙げたいのには理由があります。限定というのは、サンちゃん限定、まあ広げてもATEEZ限定なのですが、そのサンちゃんに対するウヨンの「人たらし」っぷりが、もはや「人たらしじゃなく、人でなしなのでは?」といいたくなるほど、強烈なのです。誘っておいて放置する、甘い顔をしたかと思えばすぐ冷たくなる、喜ばせておいて無視する、期待させといて浮気すると、なんとも気の毒なプレイの数々。たらしてるというより、たぶらかしてるって感じの時も。特に、私はサンちゃんの大ファンなので、かわいそうすぎて胸が痛い。多分、ウヨンにはなんの悪意も計算もなく、普通にサンちゃんが好きなだけであって、自然にしてるとそうなっちゃうんだな~てだけでしょう。

そうなのです。そこなのです。ここにも、彼を推したい理由があって、それは「人たらし」は、無意識にツンデレなことをしてしまう人が多い。そしてまた、冷たくされた方もただ優しくされるより時に冷たくされた方が、より好きになってしまう。という大法則を書きたかったからです。「人たらし」には多くのタイプがありますが、この「やんちゃ系」、好き勝手やってるだけなのに倍々ゲームで逆にどんどん愛される、というタイプが、もっともその本質をついてると思います。天使というより悪魔的です。ウヨンを見てるとほんとにそう思う。
実は私、いかにもわかったようなことを書いてますが、「人たらし」と呼ばれる人が何を考えているのか、さっぱりわかりません。自分が「人たらし」でないからわからないわけですが、でもわからないからこそ、たらされる側の人間としてはいつまでも飽きることなく、永遠に魅了されることが可能なのです。何を考えているのか読めればそこで終わる。ウヨンに代表される「やんちゃ型人でなし」を見ていると、あまりにも考えが読めな過ぎて神秘的ですらあります。そして、気がつけば、サンちゃんに共感するあまり同化してしまい、サンちゃんが好きなウヨンのことが、自分も好きになるという始末。結局サンちゃんも、サンちゃんが好きなウヨンも、えらいこと好きなのです。これぞ「人たらし」の二次効果!すごい!人たらし恐ろしい。

 

※殿堂入り Shineeテミン
「永遠の人たらし」

f:id:tenkomulan53:20191020222038j:plain

説明の必要もないくらい、「人たらし」の名を欲しいままにしてきたイ・テミン。随分前に殿堂入りしました。10年以上キャリアを重ねても、「人たらし」としての能力は、少しも衰えることはなく、それどころか、ベテランの域に入ってますます円熟味が増してきております。彼の「人たらし」とは、ズバリ何を考えてるのかわからないところ。一番わからないということは、一番の人たらしということかと。恐らくこの人は、35歳45歳になっても全然現役で、まわりの人たちをたらし続けることでしょう。今年は、SuperMの中で、兄っぷりを披露する機会が多くありましたが、兄であろうと父であろうとどの位置にいでも「人たらし」としてのベクトルや性質がまったく変わらないことがわかって、感動しました。やはり天然ものなのですね。そして、そんなテミンがすっかり夢中になってたルーカスのすごさにも驚きました。あと、今気がついたのですが、テミンやルーカスだけでなく、SuperMのメンバー全員が、(私にとっては)何を考えているのかさっぱりわからない人たちなので、ひょっとしたら、あのグループは、世界一の「人たらし」軍団なのかもしれません。顔やダンス能力で選ばれたといわれていますが、実は、こういう「人たらし」能力がかわれて選ばれたのかもしれませんねぇ。

 

てことで、素晴らしき「人たらし」の世界。今年もわずか2カ月を残すのみですが、来年も再来年も、どんどんいろんな「人たらしアイドル」が出てきて、どんどんたらしてくれることを願っています。