お留守番のあとに。

DRIPPINカムバできてホントに嬉しい。なんとか売れてほしいなぁ。

【BLACKPINK】綺麗なだけじゃダメかしら。

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2年前、華々しくデビューしたBLACKPINKにマスコミ含め我々が思ったことは、「2NE1とどこが違うの」ということだったが、同時に我々は、その答えが「抜群に綺麗だということ」もちゃんと知っていた。

知ってたけど、おおっぴらに「ヤンサ今回は美人にこだわったんだもんね!」とはいえないので、素知らぬ顔で、その質問をヤンサに投げかけてきたわけである。考えてみればタチが悪い。いじめか。ヤンサだって、しどろもどろに「そっそれはこれから彼女たちの活動と共に独自のアイデンティティが滲んでくるだろうし」的なことを繰り返すのみ。そりゃ、違う人間がやるんだから、何かしら独特のカラーが出てくるのは当たり前なので、その答えは間違ってない。正直に答えたらそれ以外いいようがなかったんだろうなと思う。そういうところがヤンサの正直で憎めないところだ、嘘でもハッタリでもいいから、彼はあの場で、ここが違うんですっ!というべきだったと思う。あそこで決定的差異点を何ひとつ言えなかったことで、私は「てことはだな、ほんとに綺麗というだけなんだな」と強く思った。ちょうど、2年前の夏である。

 

ヤンサには、随分前から「少女時代みたいなガールズグループをYGで作ってみたい」という夢があった。
それで、綺麗でスタイルのいい若い練習生ばっかり集め、数年前には9人に候補を絞るまでに計画は進んでいたのだ。それから何があったか知らないが、とにかく8人とか9人のグループは無理だという事になったようで、そこで特別仲良しだった4人だけが残り、それが今のBLACKPINKとしてデビューしたのだった。なので、この4人が顔もスタイルも綺麗なのは当然なのである。「綺麗ありき」の練習生だったのだから。

 

ところで、綺麗といってもいろんなタイプがある。少女時代以外にも、顔が綺麗スタイルが綺麗なガールズグループは数多くいるし、なんなら少女時代より綺麗なとこもある。ヤンサがわざわざ「少女時代みたいな」と固有名をあげた綺麗さというのは何かというと、SMならではの「上品な綺麗さ」ということであろう。品がよいということでしょうな。
そう、すなわち、「顔が綺麗」「スタイルが綺麗」「身の上が綺麗」ズバリこれだ。
この3つの綺麗をヤンサは目指したのだ。身の上が綺麗とは、要するに風紀が乱れておらず治安がよろしいということ。お金にだらしない、男にだらしない、薬にだらしない、口が悪い手が出やすい、ひいては「事故事件を起こしがち」などというのは論外ですよと。それではいくら美人でも身の上が綺麗とはいえないわけである。折りしもYGでは、悪い面での事故事件が相次いでおり、他事務所と比べて身の上イメージは決してよろしくない。そういう治安が悪いイメージをいい加減ここらで一掃&払拭し、何もかも綺麗なイメージしかない新グループを命をかけて目指してきたのだと思う。

 

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それはいい。全然いい。その苦労あって、できあがったBLACKPINKはすごく綺麗。見事なもんだ。マジで顔も脚も性格も全部綺麗だと思う。歌もうまいし踊れるし、最高だ。
しかしだ。
YGという会社は、K-POP企画会社の中では、アイドルなのに限りなくアーティスト寄りということを最大の魅力&武器として売ってきた会社。男子は、最初から作詞作曲ができる子が優遇され、できない子も毎日書かされてプロレベルに達するまでデビューさせないってほどアーティスト性にこだわっている。(この場合アーティスト性ってのは自己表現性のことね、自分が言いたいこと伝えたいことがあってそれを外に向けて表現してるってこと)女子は書かないが、独自の感性と主張があって、自立して社会に対峙し、しっかりメッセージを発信できる「個」を大事にしてるのは、男子も女子も同じだ。
どのグループも、そういう体(てい)で売るのならば、必然として「カッコイイ」といわれないといけない気がする。かわいくてもいいんだが、それより先に女子でもカッコイイと思われないといけない。YGグループは、すべからく「カッコイイといわれてナンボ」だと私は思うのだ。どんだけ美人でも、かわいい綺麗だけでは、どこか(たとえそういう事実はなくても)誰かにやらされてる感が漂ってしまってお人形みがあるけれど、YGグループでそれはまずかろうという話だ。BLACKPINKは、お仕着せではなく、自分たちで考え自分たちでいいと思ったことをやってるという体裁で活動させてるので、そこは当然、綺麗なだけじゃダメだろう。

そこへもってきて、BLACKPINKのプロデューサーは、あのTEDDYなのである。ただでさえ、ザ・YGサウンドという印象の彼が、音楽だけでなく今回は衣装やメークやMVに至るまで全面的に本気プロデユース。となると、なお一層、「かっこいい」という印象がまっ先に来ないといけないってことだ。
TEDDYがどれほど熱心に取り組んでるかというと、ジェニと熱愛疑惑が出てしまうほど。先の「身の上も綺麗」なBLACKPINKイメージ作りのため、彼女たちは、長らく宿舎と練習場の往復しかさせてもらえず、寄り道禁止、単独外出禁止、社屋でも、他の男性スタッフや男子メンバーに顔を合わさずにすむよう配慮されているというから、箱入り娘加減も相当なものだ。そこまで徹底してやってるのに、仕掛け張本人TEDDYと噂になるとは、大爆笑である。ほんと笑える。ヤンサの正直すぎるほど正直な口の悪さとか、こういうやりすぎて墓穴を掘ってしまうところとか、細部にこだわって全体が見えてないとことか、YGってすごく感じ悪いのに、なぜか心底憎めないのはそういうとこかも。人間らしくてよろしい。


話がそれてしまった。
とにかく、そこまで「3つの綺麗」を完備させてるBLACKPINK。だがまことに皮肉なことだが、彼女たちが、TEDDY曲を歌うと決めた時点で、それは「綺麗なだけじゃダメ」っていう路線に突入するってことじゃないの? といいたいのだ私は。そこのイメージはズバリ「ダーティ」である。明るい曲も暗い曲もパリピみたいな曲を書いても、結局のところ、彼が、TEDDYワールドやTEDDYサウンドをもっとも炸裂させる際の世界観というのは、どう考えても清純潔白なイメージではなく、ダーディなイメージが入るから。違うのか? 


そこである。そこなのである。
綺麗な顔、綺麗なスタイル、そして頭も心もプライベートも、どこ叩いても綺麗な過去しか出てこないのは素晴らしいことだが、そういう女子に、あのTEDDYサウンドを全力であてがうの、ちょっとおかしくない?と思ってしまうのだ。矛盾である。整合性がとれていない。どっちつかずである。折角の美人も勿体ないし、折角のTEDDYサウンドも勿体ない。
本気で少女時代を作りたかったのならば、もっと違う作曲家による違う路線を選ぶべきだったし、TEDDYプロデユースでいくのなら、潔癖なまでの綺麗さを手放すべきだった。無理にダーティになろうと、ケバくキツく安っぽくするほどの必要はないが、せめて「こんなに迫力あるけど実は彼女たちとっても綺麗なんです」程度に着地させるべきだったのでは?と思う。

でもまあ、よほどヤンサは、プライベートが綺麗じゃないことで事件や事故が相次ぎ、ほとほと手を焼いてきて、二度と嫌なんだとは思う。わかる。そりゃわかるよ。下手すりゃ会社ごとバーンと倒しちゃうほどの威力あるもんな。整合性なんかより、そっちの方がずっと大事なんだろう。それはわかる。そして、誰がなんといおうと、BLACKPINKは売れている。超バカ売れ。出せば記録ずくめの入れ食い状態。音源のみならず音盤もMV再生数もすごい数字。ここで私が何をいおうと「なにいってんだバ~カ」って話だろうし、アメリカから注目されちゃうほどバカ売れしてんだから、それが正解だし正義に違いない。

 

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しかし、ここまで売れるのは、結局我々にとって、TEDDYサウンドとはいつの時代にもぐっとくる「なければならないもの」になってるから。ってだけのことだと思う。我々は誰しもあのサウンドが好きなんだと思う。こんな私でさえ、BLACKPINKが活動してない時期は、ずっと何かがこう物足りないって気がするし、久々に彼女たちがカムバして、その足りない何かがTEDDYサウンドだったのだと気づいたとき、「ああ、我々は常にTEDDYサウンドを欲してるのだな」と改めて思う。なんだかんだ、韓国人も日本人も、ひょっとしたら欧米人も?TEDDYサウンドが好きっってことで、BLACKPINKがカムバすればそれがどんなに焼き直しであろうとどんだけ既視感バリバリであろうと、TEDDYサウンドである限り必ず売れるのだ。たまたまそれを歌ってるのが、今は、サラサラロングヘアと太腿だしっぱなしの女子4人という、それだけのことだ。ほんとに普通のお嬢さんて感じだし、どっかのテレビドラマのヒロインで出演できそうなくらい普通にかわいい女子なのだ。今は、ついついその衣装や髪や太腿を見ちゃうけど、それはBLACKPINKが好きってより、その曲を歌ってるBLACKPINKが好きってだけ。この先、何年間もずっと同じことをやられたら、案外飽きるの早いだろうし、そうすると、翳りも早いんじゃないかと思う。

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これは、BLACKPINKが、さくら学院のメンバーがBABYMETALをやってるスタンスではなくて、菊池桃子がラ・ムーをやってたのに近いスタンスだからよくないのだ。あ、あまりにも例が古くてわかりづらいか。
PerfumeやBABYMETALはハナから「私たちはただのアイドルなんで何もわからない、いわれた通り一生懸命やるだけ」という姿勢が一貫している。自分たちの音楽性やコンセプトについて「私はわかってやっている」というフリを一切しない。一方、菊池桃子は、自分はロックミュージシャンでアーティストなのであると宣言して(いわされてただけだと思う)それゆえに音楽性や楽曲についてあの時期「全部私はわかってる」という体裁で歌っていた。


繰り返しになるけど、BLACKPINKは、YGグループなので、自分たちで「全部コンセプトがわかってやっている」という体で活動している。そういうことになっている。私たちは、操り人形じゃないのよ。ってことだ。ただいわれたことをわけもわからず、歌ってるだけじゃないという立ち位置にいながら、その実、TEDDYサウンドのキモであるダーティさをまったく受け付けないし理解しようとしない。それは危険だから。だからあくまでも、「どこまでも清廉潔白でピュアな綺麗な私たち」として、それを表現しようとする。そこに無理があるし、マッチしきれてないものがあるように思う。同じことばかりしつこいのでもういわないが、この解決法、それこそ最初にヤンサがいったように、これから彼女たち独自のカラーが醸成されるから大丈夫ってことなのかもしんないけど、それだったらできるだけ早くそれが出てくるように努力してほしいと思う。


最後に、私もちょっと考えてみたのだ。
BABYMETALは日本のグループだけど、K-POPガールズグループで、清純潔白なまま、かなりアーティスティックなコンセプトで活動してるとこないのかと。
で、やっぱりそれはサブカル寄りのアイドルグループが頑張ってやってるとこじゃないかと思った。例えば、OhMyGirlやRed Velvet、DreamCatcherなどは、比較的コンセプトを一貫させたまま、いろんな曲を出し活動し、そして人気も評価も得ているではないか。しかも、結構なこだわりコンセプト。
例えば、イエリやジョイがどんだけあの難解で高度なサイコホラーアバンギャルドとでもいうべきコンセプトを「全部わかって」歌ってるか考えると、恐らく全然わかってない。全然わかってないし、舞台を降りれば、サイコでもアバンギャルドでもなく、普通にかわいくて素直で健全な女子だ。そんなんでも十分いけるってことだ。十分いけるしちゃんと売れるし、マニアも大衆もわかってないことを批判しない。いずれもサブカル寄りなんで、BLACKPINKとは違うかもしれないが、YGも思い切って、わかってやってる体裁をやめるという手もある。そしたらそこまで「ダーティ」嫌いにならなくても、事件も事故も起こさずかっこいいグループになれるんじゃないか。それどころか、最強に強くてかっこいい無敵の女子グループになれるので、果敢に挑戦してほしい。他人の作った曲を他人の指示通り歌うことは、そんなにかっこ悪いことでも情けないことでもない。ホントは誰もそこまで気にしてないのだから。