お留守番のあとに。

ヒョンジェが35歳になった時の顔を、わりとくっきり思い描くことができる。

【映画】暗 殺(2015韓)

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私、チョン・ジヒョンもハ・ジョンウも、ものすごーく好きなのに、それに「10人の泥棒」も大好きなのに、なぜ、この作品を見てなかったのか! と本気で悔しく思ったくらい、面白かった! もう最高。ほんとに面白かった!
でも、これまで敬遠してた理由、自分ではわかってるのだ。それは、この映画がバリバリの抗日映画だと思っていたから。私だけじゃないと思うけど、中国の作品でも韓国の作品でも、抗日運動や抗日戦争などあの時代が舞台になってる映画を見ると、やはり、日本人としてはちょっと複雑というか重いというかやりきれないというか、当たり前だが、とても愉快な気分で見れないのである。そんなわけで、この映画も、評判は聞いてたけど、なんとなく見る気になれなかったのだ。

しかーーし。
この映画、語弊があるかもしんないけど、抗日映画ではなーーい。本質的には、ただのエンタテイメント映画~。私はそうおもーーう。
もちろん、日本軍の軍人は威張り散らしてるし実際にひどいことするし、また、日本軍の要職とそこに寝返ってる韓国人密偵を暗殺する映画だから、血が飛びまくって凄惨シーンいっぱいなんだけど、でもそれ日本人でなくてよくね?みたいな形骸化した悪ってだけだし、それになんといっても、軽い!すごく軽いんだよっ!いい意味で!なんかこう重苦しくならないで、常に全体的にトーンが軽いのだ。軽妙洒脱っていうやつだ。
こんな暗い時代の重いテーマ、しかも、人を殺しまくるシーンがしょっちゅう出てくるにもかかわらず、全体的に軽妙洒脱で、よくできたエンターテイメント映画を見てる感じなのだ。だから、楽しい。だから、面白い。これ公開時、韓国では大ヒットしたらしいがすごくわかる。日本人の私が見てもこれだけ楽しめるんだから、そりゃ韓国人にしてみればわかりやすい勧善懲悪ストーリーで、同胞愛満載、友情満載、恋愛風味あり、美女とファッションあり、アクションシーン満載、ブラックジョークあり、わかりやすいジョーークあり、そして、泣かずにはおれない「お涙頂戴」のシーンもちゃんと用意されてるし、でも最後は「スカっと爽やか!」体験もできるというこの楽しさ! エンターテイメント間違いなし!楽しいことこの上ないだろう。わかる! わかるわぁ。そりゃたまらんでしょうなぁ。

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ハ・ジョンウがいいのは、もはや世界の常識なのでそこはおいといて、ヒロイン、チョン・ジヒョンがこれまでで最もいいのではないか。少なくても個人的にはこのジヒョンがよかったですね~~。
この2人は「ベルリンファイル」でも主演してるのだが、あれも彼女は最初から最後までずっと暗かった。そして暗いのがよかった。彼女は、元気で明るい役より、見た目が暗くて無口で地味でいつも何かぐっと耐えてる役がいい。そして、韓国独立軍きっての女スナイパーという役柄なので、相当な腕前なのに、まさかのど近眼なのである。監督のアイデアなのか脚本家なのか、単に演出家がセンスいいのかようわからんが、このど近眼という要素が1つ入ってるだけで、ぐっとこう、萌え要素が振り切ってましてね、射撃する前に胸元から丸眼鏡をそっと出してゆっくりかけるんですよ。もうすごくいいんですよ。しかもそれ、長らく使ってて片目のレンズが割れて壊れちゃってるのを、(戦場だったり拘置所だったりするので)そのまま使ってるっていう、すごい状況で、それがまたよかったりして。。そんで100発100中。ああもうなんでもかんでも褒めてしまう。。ジヒョン。。。。映ってる時間はとても長いのに、圧倒的に無口なのでほとんどセリフらしいセリフがなくて、しっかりしてるのはちゃんと伝わるんだが、それにしても、戦闘や作戦以外のときは、あまりにもぼーーーっとしてるのも萌え要素だと思う。ちゃんと冗談がいえなかったり、ちゃんと踊れなかったり、普段は普通の女子以上にぼーっとした朴訥なところも、すごく似合ってる。ガタイがいいのに地味でぼーっとしてるっていうのは、彼女以外の女優さんでは成り立たなかったのでは。そのくせ、「コーヒーも飲んでみたい、恋愛もしてみたい」とか、いけしゃあしゃあと(言い方)言ったりするんだもん。しかもぼーっと。準主役陣4~5人の俳優さんいずれも見事。セリフがよくできてるし気が利いてて(結局全員死ぬんだけれど)思い出しても1人1人が愛すべきいいキャラで泣ける。

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あと、上海や京城(現ソウル)の冬はとても寒く、その真冬ファッションも素敵。
もう軍服やお嬢様のワンピースが素敵なのは当たり前としても、町の女学生から貧しい民衆のボロ服まで、あの時代のクラシックなファッションが素敵なので、興味のある人にはたまらないだろうと思う。ついでに、町や屋敷のセットに大金使われててハリウッドの映画並みに美術がすごい。大八車まで素敵に見えてくるというクラシックさ。特に、上海の街並みや杭州の川っぺりとか、三越百貨店の超豪華な建築物は、素晴らしくよくできていてもう一度細かく見たくなる。

というわけで、本筋とは関係のないこと(でもないけど)ばかり目が行ってしまって、すごく楽しいんだが、いやいや、本筋もなかなか気合の入ったストーリー。あれだけ複雑で長期にわたる話を、よくもあそこまでわかりやすく描いてるなあと感心するとはいえ、それでもかなり複雑な話ではある。予備知識とかお勉強とかは別に必要ないが、なんせ、登場人物が多いのと、敵味方がややこしくて誰が誰で誰なのかわかるのに時間かかるのと、あと、ある事件から映画は始まるけど、あっという間にすぐに「それから20年」と時系列が飛ぶので、よく見てないといけない。あとでよく考える時間は必要かも。

ど近眼というアイデアもそうだが、同じく、「生き別れの双子設定」とかその「入れ替わり作戦」とか、「まさかあいつが生きてたのかっ!」とか、別にそれ絶対に必要じゃないだろ的なアイデアがあれこれ入っていて、笑える。まあ楽しいよね。そういうとこも含めて、前作(てかデビュー作なのかな)の「10人の泥棒」も常に軽妙洒脱でオシャレだったし、似てる。全然違う映画なのに、でも軽くてオシャレなところが似てる。チェ・ドンフン監督さんには、このまま、歳をとっても、国を背負うようなベテラン重鎮にはならず、一生こういう軽さとオシャレを得意とする監督さんでいてほしいなーーと思った。今回はベタ褒め。終わり。

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※日本人役こんなにいるのに、全員韓国人俳優なので、当たり前だがいや当たり前以上に全員日本語がど下手だ。日本語はハジョンウが一番うまい。そんなとこまでさすがだ。でも妻夫木くんと出てた映画のときに比べるとあれでもまだ下手になってる。その辺、日本人にしてみれば誰ひとり本物の日本軍(日本人)には見えないので、そういう意味で抗日映画苦手な人も気軽に見れると思います。映画見終わったあと、一緒にみた人とあれやこれや振り返って2時間は喋って盛り上がりたくなる、そういう映画です。すごく寒そうなので、猛暑に見て涼むにもいいかも。私はかなり涼しくなりました。それにしても、なぜ女性スナイパーは花嫁姿にさせられるのかの謎。新たに増えました。